留萌海岸
日本海岸の留萌市から、宗谷本線の幌延に連絡する羽幌線が全通したのは、ごく近年のことです。
幌延から朝一番の羽幌線のディーゼルカーに乗ったら、車内は10人くらいしか乗客がいません。
車窓には笹原と若い白樺の林で家畜の姿も見えません。
湿地には冬の神の忘れ物のような水芭蕉の花・・・。
この花の群落は、幌延と兜沼との間が北海道一でしょう。
その白い水芭蕉の花の間に、まだ冬毛を脱ぎきれない白い野兎が、大きな音をたてて近くを走る近代機関は決して害を加えない怪物だと知ってか、平気で日向ぼっこをしながら居眠りをしていました。
有害な人家はずっと湿原の彼方だから、ここは安全なんだ、そうさとっているような兎の姿でした。
乗客が少ないので、小さな貨物までが客車に積み込まれ、初山別に行く仔犬が、箱の中でしきりにキャンキャン騒いでいます。
大抵の駅は無人駅で、車掌が降りる人の切符を受け取り、乗った人の切符を切っています。
一台の車輔が貨車になったり、駅の事務所にもなるのです。
それにしても、どこからこの人たちは出て来るのだろうと思うような人が、山間の乗降場で必ず一人か二人、ポツンと待っています。
それを拾いあげては、また走りだします。
車掌一人で荷物の積みおろしから、乗客の世話までするのですから、停車したら最後なかなか動こうとしません。
乗客の方も別にいらいらもせず、そのうち動くよといったように、天候のことだの物価のことだのをのんびりと話しています。
おそらく家畜を連れて、大地のひだのような原野に割り込んでいる人たちでしょう。
札幌ツアーなどで見る北海道とは、また違った面が見られます。
私はどちらかというとやはり自然の中にいるほうが気持ち良いと思うので、またこの冬にも厳しい寒さを感じに北海道にいくつもりです。
札幌の氷祭もいいですけどね。